パシフィックホテルの残響

海鳴りの奥に、かすかな音像が揺れている。

1970年代の陽光が、まだ床に残っている。

誰かの少年時代と、今の風が、静かに握手している場所。

すべてが、詩のように古く、美しい。

 

海が近い。それだけで胸が鳴る。

波の気配が、空気に混じって漂ってくる。

潮のにおいと、かすかな音像。

歩いていると、いつのまにか詩の中に迷いこんでいるような気がする。

そんな町、茅ヶ崎。駅までのフラットな道のりは、自転車を走らせれば10分にも満たない。

 

 

その家は、茅ヶ崎駅から歩いて25分の道のりにある。

スタスタ歩けば18分。でも、そんな急ぎ方じゃこの町のリズムには合わない。

スニーカーのかかとを引きずりながら、鼻歌とともに歩く方が似合っている。

途中、サーフボードを抱えた少年がすれ違ってゆく。Tシャツは潮風で色褪せていて、

その背中に「自由」がぶら下がっていた。

 

家は、1970年代に生まれた。ざらついた外壁に、時代のノイズが沈殿している。

けれど、古びたというよりも、静かに燃えているように見える。

かつて誰かがここに夢を持ち込み、暮らし、笑い、別れを抱え、

今、それが静かな残光となって漂っている。

 

古家の延床面積は115.93㎡。控えめだけど、芯がある。

50坪の土地に根を張って、まるでそこが世界の中心かのように、しっかりと佇んでいる。

 

地下にはガレージ。ひんやりとしたその空間には、ギターアンプを置いてもいいし、サーフボードを立てかけてもいい。あるいは、タイプライター1台とランプだけの、物語の部屋にしても良い。

リビングとキッチンのあいだに段差がある。それは、設計ミスでも気まぐれでもない。

そこには意図がある。生活の流れにリズムを刻む、小さな高低差。足音が変わる、気配が変わる。

そんな細部にこそ、この家の個性が宿っている。

 

 

すぐそばには一中通りが走り、バス停までは徒歩2分。

自転車でもギターケースを背負ってでも、軽やかに出入りできる。

近くの「いただきます食堂」では、迷いのないメニューが待っている。ラクサ一択。

そういう潔さは、生きる態度として麗しい。

箸を手にするだけで、自分がまっすぐになれるような、そんな味だ。

 

 

売主は、少年期からこの家で過ごした。

かつて、この家のすぐ近くにあったパシフィックホテル(パシフックパーク)のプールサイドから、聞こえてくるバンドの音。

——ギターのリフ、遠くのベースライン——にじっと耳を傾けていたという。

きっとその音は、彼の血の中に流れ込んだまま、いまこの家にも流れ続けている。

目に見えないけれど、耳をすませば、そこにあるリズム。そして今、その旋律がこの家に眠っている。

 

そして、この家は海から徒歩2〜3分。

ボード片手に出かけて、波と踊って、陽が沈むころにはリビングでタオルにくるまれる。

そんな日常がここにはある。もちろん、ここはサザンや太陽族の聖地でもある。

音楽と風が交差する、祝福された場所。

なぜか「エリ」という名前の人が多い気がするが、それはもう謎として抱えておけばいい。

この町には、美しい妄想がよく似合う。

説明できない空気と、名前の響きと、偶然の連なりが風景をつくっている。

そしてこの家も、その風景の一部として存在している。

これはただの不動産じゃない。これは場所じゃない。

これは「うた」だ。

海のうた、記憶のうた、これから書かれる誰かの人生のうた。

ギターが似合い、詩が似合い、沈黙までもがひとつの表現になるような、そんな家だ。

あなたがもし、過去と未来をひとつの居場所に封じ込めたいと思うなら——

今、この家は、きっとそれに応えてくれる。

私たちの夢の残響と共に。

 

halasho.

物件種別 土地
価格 6280万円
所在 茅ヶ崎市東海岸南6丁目
交通 JR東海道本線 茅ケ崎 徒歩25分  バス7分 バス停 第一中学校前 停歩2分
土地面積 165.70㎡
土地面積(坪) 50.1坪
建ぺい率 50%
容積率 100%
土地権利 所有権
地目 宅地
建物構造 木造瓦葺2階建
現況 居住中
築年月 1977年4月25日
施設 公営水道, 本下水, 都市ガス
間取り 4LDK
都市計画 市街化区域
用途地域 第二種低層住居専用
法令制限 宅地造成等規制区域, 景観法, 準防火地域, 津波災害警戒区域
取引態様 仲介
引渡日 相談
備考 古家あり
木造瓦葺2階建 1階69.56㎡ 2階46.37㎡
建築年月日昭和52年4月25日

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