観光客で賑わう街、鎌倉は長谷の一角。
海へと続く細く曲がりくねった路地にひっそり佇む古民家を、貸しにだすことになりました。

表通りの喧騒が嘘のように静かな小道。

生まれてから高校生頃まで、ひいおばぁちゃんと過ごしたたくさんの思い出。
90歳を越えても一人でダンスに出かける、背筋のピンと真っ直ぐ通った女性だったひいおばぁちゃん。
タッタと駆ていって引き戸を開ければ「あーら！いらっしゃい」と皺くちゃの笑顔で、小さな卓に迎え入れてくれた。
冬には、それがおこたに。
いつもお茶をいれてくれて、とりとめない話をする時間は幼いながらに愛おしかった。
そんななんでもないような日常から、家族みんなの特別な日まで、数えきれない程の笑顔と思い出の詰まったお家。

時が経ち、人の気配が消えてからはどこか寂しげだったこの家ですが、コロナ前頃から少しずつ動きがあり、いまも遅々として変化し続けています。長いこと空き家だったので、取り壊そうという相談も何度かされたそうですが、この大切な場所を自分たちのとっておきの場所として生まれ変わらせたい、そんな思いから、今回新たな借り手を探すことが決まりました。

柔らかな日が差し込む室内。

コンパクトながら、妄想が膨らみます。

長い時を経た雰囲気ある梁。

大きくでた軒に縁側かベンチを置いて、ゆったり時間を過ごしたい。 ※写真は外観補修前のものです。お庭はアパートとの共有スペースとなります

昔ながらの雰囲気あるこじんまりとした空間は、隠れ家的なお店にぴったり。奥にあるアパート（看板犬候補も住んでいます。）の住人さんやご近所の方にも日々使っていただけるような、お花屋さんとカフェとか、ワンコの散歩ついでに朝ごはん食べられるお店とか、ふとしたときに寄りたくなる場所になったら最高だなぁと想像しています。

とはいえ、建物自体も歳を重ねてきているので、ちょっとした隙間や断熱のなさはご愛嬌。
そんな古さも”味”として受け入れ、ただ単に綺麗とかお洒落とかそういうことではない、ひいおばぁちゃんのお家を継ないでお店を営んでくださる方とのご縁をお待ちしています。

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